それは結局写真に何を求めるか<フィルムカメラを使う理由>

写真を趣味としている人のなかでも、写真の何が好きで趣味としているかは意見の分かれるところだと思います。今回の記事は僕が写真を撮る理由と、それに関連して、フィルムカメラで撮る理由について。(使い回しの写真が出てきますが・・・。)

 

僕が写真を趣味としている理由

これについて、まずは、大切な思い出を残したい。思い出とは、別に家族に限った思い出だけじゃなく、ごく個人的な思い出とかも含まれます。(家族の写真が今は最重要ですが。)

個人的にはそのときの思い出と共にそのときの感情が想起されるような写真が良い写真だと思っています。

[X-E2+XF35mm/F1.4]

 

もうひとつ大きな写真を撮る理由が、光と影がつくる美しさを記録したい、ということです。

冬の朝の斜光とキラキラした空気感や、春の柔らかな日差し、夏のギラギラとした照り返し、秋の憂愁、雨の日の路地裏の陰影。通勤電車から見える通り過ぎる駅のホームの感傷。

光がつくる綺麗な色、日常でハッとさせられる美しい景色をその時の気持ちと一緒にとどめておきたいというのが理由です。

 [X-E2+XF35mm/F1.4]

 

iPhoneの画質は綺麗だけど

iPhoneの画質は本当に綺麗です。

とくに最新のiPhone XSともなると別格の画質で写真が撮れます。でも、iPhoneの写真はどこか味気ない気がするのです。

隅々までクッキリクリアに写っているのですが、どこか平板な気がします。(アプリなどで編集すればまた、違ってくるのかもしれませんが。)

僕にとってはどうしても、「記録用」写真に思えて仕方ありません。

例えば、この間の霧の中で撮った山登りでの写真。

友人が撮ってくれていたのですが、iPhoneXSではこんな感じ。

 [iPhoneXS]

確かによく写っていますが、どことなく平板に見えます。

これがフィルムで撮るとこんな感じになります。(同じ場所ではないですが)

[C35FD:SUPERIA X-TRA400]

ピントもあってないですが、雰囲気は間違いなくこれです。

ちなみに友人はこの写真を見て、「完全にサイレントヒルやろこれはw」と言ってました笑

 

フジのカメラはどうか

富士フィルムのカメラはフィルムシミュレーションという機能があるくらいですし、色の雰囲気といい、XFレンズの柔らかい描写といい、かなりフィルムに近い感じに写ります。とくにX100Fの開放×クラシッククローム×露出補正プラスはかなり良い感じです。

[X100F]

 

陰影や空気感も光の入れ方を選んで上で、露出補正を適切に行えば、イメージ通りの写真を撮ることができます。真夏のコッテリ色もバッチリです。

XF35mm/F1.4はその場の空気感が写るレンズだと本当に思います。(条件はありますが)

 [X-E2+XF35mm/F1.4]

(ムスコよ、そのカメラにファインダーはないぞ・・・)

 

ではフィルムカメラはどうか

フィルムカメラ、特にネガフィルムはまず、フィルムごとに独特の色味が出ます。

この味が、思い出を彩ってくれます。

上[C35EF:Portra400]下 [C35EF フジカラー100]

 

そして、フィルムカメラの描写ですが、光と陰にとても敏感だと思っています。

特に古いカメラはレンズ設計が古いこともあり、光の入れ方によってフレアが盛大に発生したりします。(それも味ですが)

また、デジタルのような緻密な描写ではないですが代わりに、フィルムで撮った写真の陰影はドラマチックに写ります。

上[C35FD業務用100 ] 下[C35EF SUPERIA X-TRA400]

 

等倍拡大するとザラザラだし滲みも盛大に出ているのですが、全体で見たときの陰影が綺麗に感じるのです。何でも綺麗に撮ってしまうiPhoneではこうは写らないでしょう。

特にC35で撮る写真は線が太く写ることもあり、なんて事のない電信柱でさえ、カッコよく見えます。

 [C35 PRO400H]

iPhoneと比べて、こんなに立体的に写るのは単純にレンズ(とセンサー)の大きさの違いなんでしょうね。でもそれがフィルムカメラでは十分にコンパクトなサイズと高級デジタルカメラに比較すると格安な値段で手に入ります。(ランニングコストのことはさておき)

現像についてはCD-R化であれば一本1000円程度と、昔のようにプリント費用がかかりませんので、趣味としては相応の費用と思います。

 

道具としての信頼性

デジタルは何度でもシャッターが切れる上に、その場で確認ができて失敗は少ないです。写りだって良いです。露出だって悩んだらブラケット使ってプラスとマイナス側を撮っておけばオーケー。確実に写真を撮るという点ではとても優れています。

そういう意味での信頼性はあります。

 

ただ、持ち出すという意味ではこれは僕の機種選定ミスでもあるのですが、X100Fはあまりにも繊細な機械だと感じます。少なくとも中央線の満員の通勤電車に乗るカバンの中に忍ばせていこうとはちょっと思えないのです。

 

対して、フィルムカメラ機械的にシンプルなこともあって結構頑丈です。(そして直せる。)そもそもの機構がシンプルが故に道具としての信頼性は高いと思います。そして十二分にコンパクトです。

僕はX100Fより、C35FDの方が持ち歩きの安心感があります。

 

結局は思い出をどう残すか

思い出を写真として残すにあたっては、僕の中ではいくつか必要条件があります。

・カメラを持ち歩いていること。

・光と陰がよく写ること。

これを満たすカメラは、結局、デジタルもフィルムもどっちもいいという結論に至りました。

最近はスナップ写真も撮っていますが、フィルムの方が相性がいい気がします。

[C35EF SUPERIA X-TRA400]

 

デジタルもフィルムもどっちもいいのですが、今のところは、

・色のしっかりした表現が欲しいとき。

・繊細な描写が欲しいとき。

・失敗できない写真を撮らなきゃいけないとき。(運動会などのイベントですね)

これはデジタルで撮ると決めています。

 

逆に

・なんとなく散歩しながら気ままに撮りたい。

・撮って出てきた写真の現像上がりの風合いにワクワクしたい。

・とにかく天気がいい。

こんな時はフィルムで行きたいと思っています。

 

要するに趣味性の極みなんですね。フィルムは。でも、だから楽しいっす。